洗礼とは? 受け方・準備期間・費用

洗礼はどうやって受けるの? 準備にどのくらいかかるの? お金はかかるの? 当日は何をするの? 教会に行ったことがない方の疑問に、教派ごとのちがいを表にしながら答えます。

「洗礼」という言葉は知っていても、実際にどういうものかは外からは見えにくいと思います。何回か通うと受けることになるのか、いくらかかるのか、当日は何が起きるのか。教会に行ったことがない方からよく出るのは、このあたりです。

この記事では、洗礼とは何か、受けるまでに何をするのか、費用、当日の流れを、教派ごとのちがいも含めて整理します。先に一つだけ書いておくと、大人が洗礼を受ける場合は、本人が申し出て、準備の期間を経てから受けるのが一般的です。

洗礼とは、信仰を言い表して教会の一員になる儀式です

洗礼は、イエス・キリストを信じることを神と人の前で言い表し、教会の一員として迎えられる儀式です。カトリック、正教会、日本聖公会では秘跡・機密と呼び、ルーテル教会をはじめ多くのプロテスタント諸教会では聖礼典と呼びます。呼び方は違っても、洗礼を神が与える恵みのしるしとして受けとめ、信仰生活の出発点とする点は、多くの教派に共通しています(水の洗礼を行わない群れもあります)。

呼び方や位置づけは教派で違いますが、ここから信仰者として生きる、という区切りである点は変わりません。そして多くの教派で、洗礼は生涯に一度のものとして扱われます。

まずはこれだけ

  • 洗礼は、信仰を言い表して教会の一員になる儀式です
  • 大人が受ける場合は、本人が申し出るところから始まります
  • 受けるまでに、担当の聖職者と一緒に学ぶ準備の期間があります
  • 洗礼そのものに料金はかからないのが一般的です
  • 洗礼を受けないまま通い続けている方もいます

通いはじめただけで、洗礼を受けることにはなりません

大人が洗礼を受ける場合は、本人が「受けたい」と申し出るところから話が始まります。教会の側から、本人が望んでいないのに授けることは、通常ありません。(幼児洗礼のように保護者の信仰にもとづいて授ける場合や、重い病気のときなど、教派ごとに別の定めを置いていることがあります。ご家族のことで気になる場合は、その教会に直接たずねてみてください。)そもそも礼拝やミサに出席することと、信徒として登録されることは、別の手続きです。出席した回数が入信の手続きに変わることはありません。

はじめて行った方が迷いやすいのは、聖餐(プロテスタントでの呼び方)や聖体拝領(カトリック)と呼ばれる、パンとぶどう酒をいただく場面です。日本では、カトリックのミサで信徒が受けるのはふつうパン(ホスチア)だけですし、プロテスタントの教会ではぶどう酒ではなくぶどう液を使うところが多くあります。。ここは教派によって、また同じ教派でも教会によって考え方が違います。カトリックや正教会のように、教派として定めがはっきりしているところもあれば、プロテスタント諸教会のように、洗礼を受けた方を対象とする教会と、そうでない方にも開いている教会に分かれるところもあります。

そのため、無理に判断しなくて大丈夫です。教会の案内に従えば問題ありませんし、席に座ったまま待っていて構いません。カトリックや日本聖公会には、パンを受け取らない方も列に加わって祝福を受ける慣習の教会もあります。まわりに合わせるか、受付で一言たずねれば教えてもらえます。当日の過ごし方ははじめて教会に行く日の流れにまとめています。

準備の期間をとってから洗礼に進むのは、どの教派でも一般的な進め方です。半年通っても、三年通っても、洗礼を受けずにいる方はいます。すぐに決めなければ、と感じたときは、日を置いて考えて構いません。

洗礼までの流れは、教派によって違います

同じ「洗礼」でも、準備の進め方も、受ける時期も、教派でかなり違います。主なところを並べます。

教派洗礼までの準備洗礼の日その教派で聞く言葉
カトリック教会の入門講座で教えと聖書を学ぶ復活徹夜祭(3月末〜4月ごろ)に授けられるのが通例洗礼名(霊名)を決める。成人の場合、洗礼に続けて堅信の秘跡も授けられるのが原則
正教会司祭に相談し、聖書と正教会の伝統を学ぶ教会が定める洗礼の直後に、聖膏を塗る傅膏(ふこう)がある。聖名を受ける
日本聖公会司祭と一緒にキリスト教を学ぶ教会が定める洗礼のあと、主教が行う堅信がある
ルーテル教会牧師と準備の時をもつ教会が定める幼児洗礼を行う立場をとる
プロテスタント諸教会(教団・単立で異なる)牧師と学びを重ね、信仰を言い表す(信仰告白)教会が定める洗礼を受けた人の呼び方は教団ごとに異なる(正会員、陪餐会員など)
 └ バプテスト系(プロテスタントの一つ)自分の言葉で信仰を告白してから受ける教会が定める本人の信仰告白にもとづく洗礼(信者洗礼)を大切にする。全身を水に浸す浸礼を重んじる

同じ教派のなかでも、教団や単立教会によって呼び方も手順も違います。表は大まかな目安として見てください。

準備期間と洗礼の日が全国共通の枠として定まっているのは、カトリックです。入門式のあとの求道期、四旬節に入ってからの洗礼準備期という段階を経て、復活祭の前夜に行われる復活徹夜祭で洗礼を授けるのが通例です。準備にかかる期間は教会によりますが、1年ほどを目安に案内している教会もあります。復活祭がどういう日かは教会暦のガイドで説明しています。

プロテスタント諸教会には、教派をまたいだ共通の期間の決まりがありません。各教団や各教会の規程に沿って、牧師との学びを重ね、本人の準備が整ったところで洗礼式の日を決める、という進め方が一般的です。たとえば日本基督教団の場合、教規第136条で陪餐会員を「信仰を告白してバプテスマを領した者」などと定めています。

準備にどれくらいかかるかは、教会と本人の状況で変わります。目安を知りたいときは、気になる教会に直接聞くのがいちばん確実です。プロテスタントとカトリックの考え方の差はカトリックとプロテスタントのちがいにまとめました。

幼児洗礼と成人洗礼のちがい

洗礼には、赤ちゃんのうちに親の信仰にもとづいて受ける幼児洗礼と、本人が決めて受ける成人洗礼があります。大人が自分で受ける場合は成人洗礼にあたります。教会で両方の言葉を耳にするので、違いを知っておくと話が通じやすくなります。

幼児洗礼成人洗礼
受けると決めるのは親(保護者)本人
本人が信仰を言い表すのは成長してからの堅信・信仰告白式のとき(正教会は例外で、洗礼の直後に傅膏を受け、幼児のうちから聖体をいただきます)洗礼の前
行っている教派カトリック、正教会、日本聖公会、ルーテル、日本基督教団などすべての教派

日本基督教団の場合、教規第138条で、幼児のとき父母の信仰にもとづいて洗礼を受け、まだ聖餐にあずかっていない人を「未陪餐会員」と定め、堅信礼または信仰告白式を終えたあとに陪餐会員となることができるとしています。

一方、バプテスト系の教会は幼児洗礼を行いません。バプテスマは自分の言葉で信仰を告白した人のためのもの、という考え方をとるためです。ルーテル教会は反対に、幼児も洗礼を受けるという立場をとります。ここは教派で考え方が分かれるところなので、通いたい教会がどちらの立場かは、その教会に聞いてみてください。

費用:洗礼にお金はかかるのか

洗礼そのものに料金はかからないのが一般的です。入会金や受洗料といった名目で費用を請求されることは、通常ありません。準備の講座についても、無料としている教会が多くあります。

紛らわしいのが献金です。教会の運営は信徒の献金で支えられています。金額は本人が決めるものとしている教会が多い一方、収入の一部を目安として教える教会や、会員に月ごとの献金を案内している教会もあります。誕生・洗礼・結婚など人生の節目に感謝して献金する習慣を紹介している教会もありますが、習慣があるということと、金額が決まっているということは別です。気になるときは「こちらの教会では、洗礼のときに献金の習慣はありますか」と聞けば教えてもらえます。

礼拝のときの献金についても同じで、はじめて行った日に入れなくて問題ありません。この点は献金のガイドはじめて教会に行く日の流れで詳しく書いています。

当日のこと:服装、水のかけ方、式の流れ

服装は、清潔感のある普段着で問題ない教会が多くあります。ただし、全身を水に浸す浸礼を行う教会では着替えが必要になりますし、式のときの装いを定めているところもあります。事前に「何を着ていけばいいですか」と聞いておくと安心です。詳しくは教会に行くときの服装にまとめています。

水のかけ方は、大きく分けて二つです。

  • 滴礼・灌水(かんすい) — 頭に水を注ぐ、またはかける方法
  • 浸礼(しんれい) — 全身を水に浸す方法

正教会では、至聖三者(父と子と聖神)の名によって三度水に浸る形が伝統的で、日本では灌水による洗礼も行われています。バプテスト系の教会は浸礼を重んじますが、体調や年齢の事情に応じた形を定めている教会もあります。

水を注ぐとき、または水に浸すときには「父と子と聖霊の名によって」という言葉が唱えられます。正教会では「父と子と聖神の名」と言います。カトリック、正教会、日本聖公会では、信仰の道を支える立会人として代父母(だいふぼ)が立ちます。

式そのものがいつ行われるかも教派で違います。カトリックは復活徹夜祭という夜の典礼のなかで行いますし、日曜の礼拝のなかで行う教会もあれば、別に日を設ける教会もあります。式のあいだは立ったり座ったりする場面がありますが、疲れたら座って構いません。足のことや持病、車いすの利用など気がかりがあれば、前もって伝えておくと席を用意してもらえます。所要時間や参列できる家族の人数も含めて、気になる教会に直接聞くのがいちばん確実です。

教派を移るとき、洗礼はどうなるのか

引っ越しや結婚をきっかけに、別の教派の教会に移ることはよくあります。このとき、洗礼を受け直すのかどうかが気になると思います。

まず、移りたい先の教会に、どこで、いつ、どういう形で洗礼を受けたかを伝えて相談してください。教会名・年月・洗礼の形(灌水か浸礼か)がわかると、話が早く進みます。

扱いは教派と教会によって違います。父と子と聖霊(至聖三者)の名による水の洗礼であれば、あらためて授け直さず、別の手続きで迎え入れる教会が多くあります。日本聖公会では、ほかの教会で洗礼を受けた方が加わるときに堅信を受ける、という案内をしています。日本基督教団の場合、所属教会を変えるときは元の教会の薦書(せんしょ)を新しい教会に提出し、その承認を受けることになっています(教規第139条)。一方で、洗礼の形式や元の所属を確認したうえで扱いを決める教派・教会もあります。

最後にもう一度書いておきます。洗礼を受けるかどうかを、通いはじめの段階で決める必要はありません。何年も洗礼を受けないまま通っている方はいます。まずは自分に合う場所を探すところからで十分です。教会えらびの考え方は自分に合う教会のえらび方に、東京都内の教会は場所からさがすページにまとめています。

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