信者でなくても教会で結婚式は挙げられる?

二人ともクリスチャンではないけれど、教会で式を挙げたい。カトリック・プロテスタント・聖公会・正教会それぞれの条件、結婚講座の中身、お金の考え方、再婚のとき、申し込みの流れをまとめました。

「教会で結婚式を挙げたい。でも、二人ともクリスチャンではない」。検索すると「信者でなくても挙げられます」という記事と「信者でないと無理です」という記事が同時に出てきて、ここで手が止まる方は多いです。

どちらも、それぞれの教会について書けば正しい説明です。条件は教派によって違い、同じ教派でも教会によって違うからです。

まずはこれだけ

  • 式場やホテルの「チャペル」での挙式と、日曜ごとに礼拝をしている教会での挙式は別のものです
  • 日本のカトリック教会は、信者でない二人の式について教皇庁から特別な許可を受けています。ただし引き受けるかどうかは教会ごとの判断です
  • 聖公会やプロテスタントにも、信者かどうかを問わず受けている教会があります。ただし、すべての教会ではありません
  • 正教会では、結婚式は洗礼を受けた信徒が受けるものと位置づけられています
  • 多くの教会で、結婚講座(結婚準備の学び)への参加を求められます。回数も期間も教会によって違います

「チャペルウェディング」と「教会での結婚式」は別のものです

式場やホテルの中にある礼拝堂(チャペル)での挙式と、日曜ごとに礼拝をしている教会での挙式は、申し込み先も、お金の性質も、準備の中身も違います。

式場・ホテルのチャペル教会での挙式
申し込み先ブライダル会社・式場の担当者教会の事務室(司祭・牧師)
お金挙式料としてプランに含まれる献金・会場費という形
事前の準備打ち合わせとリハーサル結婚講座への参加とリハーサル
日程式場のスケジュール次第日曜午前の礼拝が最優先
信仰の有無基本的に問われない教派・教会ごとに条件がある
披露宴同じ建物で続けられる別に手配することが多い

教会は結婚式のための施設ではありません。日曜ごとに人が集まって礼拝している場所で、その延長線上に結婚式があります。日本聖公会東京教区は、教会は結婚式を事業として行っておらず、あくまで教会の礼拝のひとつとして執り行うと説明しています。日本カトリック司教協議会の文書にも、教会が結婚式業者だと誤解されるようなことは極力控えるべきだと書かれています。見積書を並べて比べる考え方は、そもそも当てはまりません。

設備やサービスがそろっているのは式場のチャペルです。どちらを望むのかを先に決めると、話が早く進みます。

教派ごとに、条件はここまで違います

教派そのものの違いはカトリックとプロテスタントのちがいにまとめています。ここでは結婚式に絞ります。

教派信者でない二人の挙式主に確認されること
カトリック受けている教会があります結婚講座の受講。教会法上・民法上の支障がないことの確認。再婚は別途相談
プロテスタント教団・教会によって幅が大きいです牧師との結婚準備の学び。礼拝への出席を求める教会もあります
聖公会受けている教会があります担当の司祭から、式文にそって結婚について学びます
正教会洗礼を受けた信徒のための「婚配機密」として行われていますどちらかが信徒である場合の扱いを含め、条件は教会によって異なります。まずはその教会におたずねください

カトリックは一律に受けていないと思われがちですが、日本には固有の事情があります。日本カトリック司教協議会の宣教司教委員会が1992年に出した文書によると、カトリック信者の多い国で教会が結婚にかかわれるのは受洗者や洗礼志願者に対してだけで、信者でない人が挙式できるのは相手が信者である場合に限られます。日本の教会は、国内の挙式のみに限定された特別許可を教皇庁教理省から1975年3月1日付で受けており、それをもとに信者でない二人の結婚式を行ってきた、と同じ文書に記されています。

ただし、許可があることと、その教会が引き受けることは別です。信者かどうかを問わず挙式できると案内している教会もあれば、どちらかが信者であることを前提にしている教会もあります(東京のカトリック教会)。

プロテスタントは、方針の幅がいちばん大きい教派です。教団の数が多いうえ、どこにも属していない単立の教会もあり、同じ教団でも教会ごとに考え方が違います(東京のプロテスタント教会)。なお、このサイトではルーテル教会を別の一覧にしていますが、ルーテル教会もプロテスタントに含まれます。

日本聖公会東京教区は、多くの教会が信徒であるなしに関係なく結婚式を受けつけていると案内しています。同じページに、必ずしもすべての教会が受けつけているわけではない、とも書かれています(東京の聖公会)。

正教会では、結婚式は「婚配機密」と呼ばれ、洗礼を受けた信徒が受けるものと位置づけられています。二人とも洗礼を受けていない場合の挙式は、基本的に行われていません。婚配機密は、二人とも正教会の信徒であることが前提です。どちらか一方だけが信徒の場合も、教会で式を挙げることは通常できず、結婚を機に洗礼を受けて信徒になる方もいます。これは教会ごとの方針ではなく、正教会全体の考え方です。(東京の正教会)。

結婚講座・結婚準備会では何をするのか

「講座」と聞くと身構えますが、試験も宿題もありません。二人で話を聞き、二人で話し合う時間です。回数はさまざまで、3回で終わるところもあれば、3か月ほどかけるコースもあります。式の進め方の説明や、信徒の夫婦の話を聞く回を設けている教会もあります。

司教協議会の文書は、キリスト教における結婚観の基本的なことがらと、祈りや祝福についての意義が示され、本人たちからもある程度の理解と同意が得られるべきだとしています。期間の目安には、3か月から6か月(週に1、2回)という例が挙げられています。

聖公会では、担当の司祭から式文(式で読まれる言葉)にしたがって結婚について学びます。最初の相談で「何回、どのくらいの期間かかりますか」と聞いておくと、予定が立てやすくなります。

結婚講座を受けたうえで、さらに受洗や入信まで求められることは、カトリック・聖公会・プロテスタントでは多くありません(正教会は前の表のとおり、前提が異なります)。ただし、キリスト教の結婚観を聞いたうえで式に臨んでほしいというのは、多くの教会に共通する考え方です。納得できないまま進めると、二人にとっても教会にとってもつらい時間になりかねません。

再婚のとき

初婚であることを条件にしている教会もあれば、再婚でも相談に応じている教会もあります。ここは教会によってはっきり分かれます。

死別による再婚と、離婚をへての再婚とでは、確認される内容が変わります。決まった答えはありませんし、断られると決まっているわけでもありません。前の結婚に関する書類を求められることもあるので、事情をそのまま伝えて相談するのが早い道です。

お金のこと:プラン料金ではなく「献金」

教会での挙式にかかるお金は、多くの場合「献金」や「会場費」という形です。日本聖公会東京教区は、挙式にあたって感謝の献げ物(献金)をお願いしていると説明しています。金額を載せていない教会が多いので、額は事務室に直接聞くことになります。

もうひとつ大事なのは、式場のプランと違って含まれていないものが多い点です。衣装、写真、花、音楽、披露宴の会場、送迎。これらは自分たちで手配してほしいと明記している教会もあります。どこまでを教会がやるのか、最初に線引きを確かめておくと、あとで慌てずにすみます。

なお、このサイトは教会の紹介や取り次ぎをしていません。どの教会が合うかは、足を運んだ二人にしか決められないからです。

申し込みから式まで:半年から1年を見ておく

順番はだいたいこうなります。

  1. 教会に連絡する(電話または問い合わせフォーム)
  2. 司祭・牧師と面談する
  3. 日程を相談して仮に押さえる
  4. 結婚講座に参加する
  5. リハーサルをする
  6. 挙式

半年から1年ほど先を目安に申し込むよう案内している教会があります。土曜は半年以上先まで埋まっていることも多いようです。日曜の午前は礼拝の時間なので、土曜か日曜の午後が中心になります。

披露宴の会場を先に押さえてしまいがちですが、順番は逆のほうが楽です。日本聖公会東京教区も、少なくとも披露宴等の会場予約より先に相談するよう勧めています。会場が決まってからだと、教会の日程と合わなくなります。

書類の準備もあります。教会は、教会法上・民法上の支障がないことを確認します。証人として立ち会う成人2名を用意するよう求められることもあります。

式は礼拝のひとつとして行われるので、当日は立ったり座ったりする場面があります。立つのがつらいときは、二人も参列する方も、座ったままでかまいません。会堂によっては入口に段差があったり、お手洗いが階段の先だったりします。車椅子や杖を使う方、耳の聞こえにくい方が参列する予定があれば、最初の相談のときに「入口に段差はありますか」「車椅子のまま入れますか」と聞いておくと、当日あわてずにすみます。日本のカトリック教会では、二人とも信者でない場合の式は、ミサではなく「ことばの祭儀による結婚式」という形で行われるのがふつうです(どちらか一方だけが信者の場合も同じです)。この式に聖体拝領はありません。信者同士の式などミサの中で行われる場合には聖体拝領の場面がありますが、これは洗礼を受けた信者が受けるものとされています。参列者は席にいてかまいません。

教会の式そのものに法律上の効力はありません。役所に婚姻届を出してはじめて法律上の夫婦になるので、式の日と入籍日をそろえたい場合は自分たちで手続きをします。

断られることもあります。だから最初のひと言が大事です

司教協議会の文書にも、教会には非キリスト者同士の結婚式を行う義務はない、と書かれています。教えの筋道として引き受けていない教派もありますし、司祭や牧師が一人しかおらず、日曜の活動とのバランスから件数を絞っている教会もあります。

これは、あなたたち二人が拒まれたということではありません。その教会の考え方と事情です。別の教会に聞けば、違う答えが返ってくることもよくあります。

相談は、電話か問い合わせフォームで、最初にこう伝えるのがいちばん早いです。

「教会員ではないのですが、結婚式をお願いすることはできますか」

先に立場を伝えておけば、受けていない教会ならその場で分かります。あわせて伝えると話が早いのは、この4つです。

  • 希望している時期(何年の何月ごろか)
  • 二人とも洗礼を受けていないこと
  • 初婚か再婚か(再婚なら死別か離婚か)
  • 参列してもらう予定の人数

事務室の人はこうした問い合わせに慣れています。式の下見としてではなく、その教会の礼拝に一度参加してみてから相談する方もいます。礼拝はどなたでも参加できますし、途中で疲れたら座ったままでかまいません。当日の流れははじめて教会に行く日の流れにまとめています。

教会ごとの方針の違いは、外から眺めていても分かりません。場所から教会をさがすページから、通いやすい教会を探せます。

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